旭川市公会堂で開催される「三浦綾子のつどい」に参加するため、旭川にやってきた神楽岡マイ。同じ理由でゑむゑむさんが稚内からはるばるお越しになるというので、オフ会をすることができました。千葉‐旭川の直線距離が927kmで、稚内‐旭川の直線距離が191km。なんと移動距離の長いオフ会ですこと。
で、待ち合わせ場所をどうしようかという話になりまして。オフ会ではないけど、5月にすいさんと文学フリマでお会いした時は、会場最寄りの流通センター駅前ということですんなり決まったのですが、今回「三浦綾子のつどい」が午後に始まるので、その前にお会いしましょうということになり、最終的には文学館での待ち合わせになったんですが、これは「ミスったかも」と今更ながら思うのです。果て丘ファンとしては「川田カメラ店の前」とか「彫刻公園入口」とか「ゲートイン旭川」とか、待ち合わせにふさわしい場所がいくつもあるじゃないですか!どれも特定不能なんですけど(笑)。きっとゑむゑむさんは、そういうのを期待していたはず。まぁ、「文学館で待ち合わせ」っていうのは、三浦文学ファンなら、待ち時間も展示を見ているから退屈さがゼロ。ある意味、最上の待ち合わせ場所だったりします。旭川市民の方はぜひ活用していただきたい。賛助会員なら入場料もかからないし、初対面だからと言って「手に真っ白な花を持っています」(『裁きの家』)なんて目印をつける必要がなさそう。
無事にゑむゑむさんと文学館2階でお会いできまして、まずは2日前からスタートした河﨑秋子さんの回廊展を一緒に鑑賞しました。ゑむゑむさんは直木賞受賞作『ともぐい』をまだ読まれていないようでして、ネタバレしないように気をつけながら『ともぐい』の感想を伝え、それからワタシが読んだ『清浄島』『鯨の岬』『絞め殺しの樹』『鳩護』『土に贖う』『齵風の王』と…って、いつの間にか河﨑秋子オフになっていたわ。いや、人に伝えたくなるほど面白い本だし、素晴らしい紹介展示だったんですよ。企画展「三浦綾子文学を照らした三つの光」とともに、ぜひ会期中にご覧いただきたい。
文学館駐車場にワタシが借りているレンタカーを置かせていただき、ゑむゑむさんの愛車でランチに出発です。行き先はゑむゑむさんが綾活で紹介していただいた扇松園。『果て遠き丘』でおなじみのあの扇松園ですよ!途中、橋宮家があったと思われる高砂台周辺を経由していきました。なんというか、高砂台って街の風景がなかなか他では見ない感じでしたね。民家がある中で昭和風味の温泉ホテルがあれば普通のシティホテルもあり、介護施設の正面にブティックホテル(って今も言うの?)があったり、なかなか面白い光景を見ることができました。
本気度が違うので(何の?)、扇松園併設のそば扇には11時開店の10分前に到着。早速カツ丼セットを注文しました。料理が届くまでの間、扇松園入口に掲示されている『果て遠き丘』の名シーン「砂利マヨ」部分の原稿を代わる代わる撮影しました。この原稿にある「蕎麦にマヨネーズソース」の部分、よくよく考えてみたら「パスタ+マヨネーズ=スパゲティサラダ」があるので、「蕎麦+マヨネーズ」も案外イケるんじゃないかと最近思っています。マヨネーズに少しだけ麵つゆ足したりしてね。今度試してみることにしましょう。
そのお蕎麦、確かに美味しいですわ!整さんがおすすめするのも納得。大満足で完食したのち、目に入ったのが壁に貼られたかき氷のメニュー。ゑむゑむさんも気になっていたようで、「甘いものは別腹」「どうせ水だし」「冷たいからカロリーゼロ」という理論で、ワタシは宇治金時、ゑむゑむさんはパイナップルを注文しました。ちょっと想定外の大きさのかき氷がお互いの席に届けられましたが、ふわふわの氷なので、食べても頭がキーンってならないんです。小豆の部分も甘すぎず、ペロリとたいらげてしまいました。会計時に聞いたのですが、かき氷メニューは今日が今シーズンの提供初日で、ワタシたち2名が初めての注文だったそうです。扇松園の歴史に名を残してしまった綾活民(大げさ)。
ランチのあとは「三浦綾子のつどい」が開かれる旭川市公会堂に向かいました。旭川市公会堂は常盤公園にありますが、常盤公園といえば『果て遠き丘』のラストシーンでおなじみですよね!香也子が電話ボックスから電話をかけるシーンが3回あり、一度目は恵理子の結婚披露宴が行われる北斗ホテル(これは旭川トーヨーホテルがモデルなんじゃないかと思うのですがどうでしょう?)のそば、二度目は公園(常盤公園と思われる)に行く途中の電話ボックス、そして三度目が常盤公園内の電話ボックスです。今回、その三度目にあたる「香也子が警察と金井英語塾にかけた電話ボックスを特定しよう」という試みを実行しました。
普通は常盤公園に来て「お!ここがあの常盤公園か。よしよし果て丘聖地巡礼完了」で終わりそうなもんですが、ゑむゑむさんもワタシもそのようなぬるい特定を許しません。まずは正確な位置を調べるため、公会堂横にある図書館で『果て遠き丘』を手にとり、いくつかのキーワードを見つけました。
左手のグラウンドでは、体育の日にちなんでの野球大会でもあるのか、人垣がつくられ、盛んに声援する声があがる。
『果て遠き丘』断線の章(七)より
右手の大きな千鳥ヶ池には、ボートが何十隻となく浮かんでいる。
『果て遠き丘』断線の章(七)より
香也子は池のほとりの柳の下に立って、向こう岸に鈍く光る天文台のドームを見た。
『果て遠き丘』断線の章(七)より
このキーワードをきっかけに、ワタシたち特定班は常盤公園を歩きだしました。歩き出して、グラウンドも千鳥ヶ池も天文台も見つかったのですが、電話ボックスがないんですね。いまどき街中で電話ボックスって見かけます?昔はあったんでしょうけど、これだけスマホが普及すると、撤去されても仕方なし。池の周りを一周しても見当たらず、残念ながら「香也子の電話ボックス」の特定はできませんでした。
この日の旭川は最高気温が29.2度。関東と変わらないくらい暑く、「爽やかな北海道はどこに行ったんだろう」というくらい。暑くて写真撮るのも忘れるというありさま。加えて、ゑむゑむさんが稚内から持参されたお土産を「暑い車内で傷んじゃうかもしれないから」ということで、車には置かずに特定作業中ずっと持ち歩いていたんですね。すいさんのもとに届いたであろう「流氷まんじゅう」「天北原野」は、なんと常盤公園を経由していたんです!美味しさが倍増したでしょ?(笑)
13時半になり、「三浦綾子のつどい」の受付がオープンしました。実は正直言って、結構小さいイベントかと思っていたんですわ。それが717席満席とは言わないけど、かなり埋まるような人数になっていて驚きました。イベントはゴスペルで始まりました。ゴスペルって映画でしか知らないんですけど、あれ、歌っている人たちはいつも楽しそうですよね。そういう曲しか聞いたことがないからかもですけど。続いて本編の『道ありき』朗読劇です。『道ありき』。誰もが感動できる間違いないやつ。今年は文学館の「声つむぎコンテスト」に応募しようと思っているので、朗読の技術的な部分にも注目して聞いていました。場面転換部分ではピアノとバイオリンの生演奏がありまして、これがなかなか具合よく、沁みるように聞き入りました。ラストの「三浦作品名言紹介」では「これは難波さんの意向が強く働いている」と、ゑむゑむさんが名探偵ぶりを発揮していたのが強く印象に残っています。
イベントが終わり、旭川駅前の喫茶店まで移動しまして、イベント終了後の難波さんをお迎えし、30分にも満たない実に短い時間でしたが綾活オフ会を行いました。ワタシ、オフ会と言われるものに参加するのって人生でこれが初めてかもしれない(マジ)。共通の話題があるからいいですよね、オフ会って。どういう立場の人でも「ファンの一人」っていう同じ目線で話せるってことが、かなり衝撃的で新鮮でした。これは文学フリマでも感じたけど。いい活動ですわ、綾活。
ワタシのレンタカー返却の時間が迫っていて、本当に名残惜しいんですけどお別れの時間となり、ゑむゑむさんに文学館まで送っていただきました。思ったんですけど、オフ会に参加するなら、しっかりと時間を作った方がいいですね。帰る日にオフ会を企画しちゃダメだなって心から思った次第。また、舞台巡りは本当に楽しい時間を過ごすことができ、ゑむゑむさんには心より感謝申し上げます。次回は「木工団地付近で西島さんがギターを弾いていた場所特定オフ」でお待ちしています!
コメント
マイさん、本当にありがとうございました(*´ ω `*)
こちらを読めばいつでもあの夢のような時間がよみがえってきます( ・`ω・´)
ところどころに醸し出される「ガチ勢」臭がまたいいですね笑
いつか稚内でもお会いできたらうれしいです! すいさん、難波さんも一緒に!
ゑむゑむさん
楽しかったですねぇ!
ふだん、一人静かに行動することが多いんですけど、三浦文学つながりだと、一人じゃなくても楽しい!と実感しました。
「宇治金時にパイナップルが入っていた話(食べてる最中にすあまが追加されたやつ)」とか「旭川常盤ロータリーを避けて運転した話」も付け加えようと思ったのですが、これは別に機会にとっておこうと思います(笑)。
神楽岡マイ